2013年 08月 16日
夏休みの課題1(ザンクトガレン コンセンサス2013) |
やっとこさっとこ、ドツボに入っていた仕事がなんとか終わったので、お盆休みに突入!
というわけで、夏休みの宿題にしておいた、ザンクトガレン コンセンサス2013の原文をチラ見してみました。
私は医療関係者でもなんでもないので、単に書いてあることをざっくりと読んで理解することしかできないため、ここに書くことは、正確ではないってことが前提ですが、自分の理解のために一応書いてみようかと。
(内容に関しての疑問は、ご自身の主治医に必ず質問されてくださいね!ここに書いてあるのは、私がざっくり読んだだけなので、信用ならんためです)
恐らくこのあたりが会議のハイライトだったみたい
最初のあたりにまとめ(St Gallen 2013: news and progress)があるんですが、そこを読むと以下の内容でした。
・センチネルリンパ節への微小転移があっても、リンパ節廓清はしなくてもよいという研究結果がありました
・乳房部分切除術(breast-conserving surgery)+全乳房の放射線照射を受ける場合は、センチネルリンパ節への転移が2つまでであれば、リンパ節廓清は省略しても安全という研究結果がありました
・放射線の全乳房照射は15回で40Gyまたは16回で42.5Gyの照射に短縮しても、これまでの標準である25回で50Gyの照射と効果が変わらず安全であるという2つの大きな研究結果がありました。25回で50Gyの照射よりも、経済的で利便性が得られるということです
・タモキシフェンを5年間投与と10年間投与するという臨床試験では、10年間投与の方が優勢(superiority)という結果がありました
・診断時に閉経前であった患者がレトロゾール投薬時に閉経している場合は、レトロゾールの利益が得られるという結果がありました
・トラスツズマブの投与期間の1年間と2年間を比較する臨床試験によれば、2年間投与しても特別大きな利益はありませんでした、6ヶ月と1年間の比較をするための臨床試験は失敗しました、よって1年間の投与が標準的です
・化学療法を行った場合と行わなかった場合を比較する臨床試験はどのグループも利益があるということを提示できずに失敗しました(そしてなんかこの臨床試験に関する上手く行かなかった理由だか、もしくは言い訳みたいなこと?が書いてあるんですが、読んでもよくわからなかったので省略(笑)……すみません)
さらに、演題に上がった内容の詳細はTable 1.を、パネル会議でのコンセンサスの詳細に関しては本文のpanel deliberationsの各項を読むとわかります。
ちなみに、コンセンサスのパネル投票の詳細に関しては、こちらの「Supplementary Data」からダウンロードできるファイルの「appendix 3 detailed voting records for each of the questions put to the Panel:」にあります。
サブタイプは「っぽい」って感じで
たぶん、サブタイプと治療方針に関しては、2011とほぼ同じです。
2011と比較して、大きく変わっているのは以下の2つ。
・サブタイプの最後に"–like"と付いたのがある
これはたぶん、「〜と同様」って意味だと思うので、instristic subtypesに対する位置づけとして「っぽい感じ」みたいなことを言いたいんじゃないかと(←すみません適当です)。
だからどうしたって感じですけど、あくまでも代替的だってことを周知させたいってことなのかもしれません。
・Luminal A-likeとLuminal B-likeを識別するのに多重遺伝子分析(multi-gene-expression assay)のスコアを取り入れている(if availableという前提はあるものの)
これは、Oncotype DXやMammaPrintなどの多重遺伝子診断の結果のことだと思うのですが、この結果を識別に正式に取り入れたという感じです。ただし、注釈として、以下の内容がありました。
この要素は、最初の草案が作成された際のPanel審議の際に、強い少数意見を反映するために加えられた。21遺伝子のRSも70遺伝子のリスク分類も固有のサブタイプを定めるために作られたものではないが、一致(concordance)研究において、21遺伝子(おそらくOncotype DXのこと)のRSで低リスクにあたる90%以上と、70遺伝子(おそらくMammaPrintのこと)の低リスクのほぼ80%がLuminal Aと分類されることが強調されている。
※つか、a concordance studyってなんなんだろう?普通、concordanceって一致とか、そういう意味だと思うんですが、「一致研究」ってそもそも意味不明ですみません……もうちょっと調べてみます。
実際のパネル投票の時の結果を見ると、必ず遺伝子分析診断を取り入れるべきとしている人は0%であり、リンパ節転移なしでホルモン受容体陽性乳がんであった場合でも検査を取り入れるべきとしているパネルが6割弱であるので、パネル投票の結果としては、それほど強い意見ではなかったようなのですが、この草稿を作る際にパネルの少数から強く入れるべき!っていうのがあって、最終的に入れたみたいですね。なるほど。
また、ki-67のカットオフポイントは、2011と同じく<14%なのですが、注釈を読むと、実際のパネル投票では、 "high"の閾値が≥20%とされていたようで、なんだか不穏ですね……。結局ki-67の精度というのは、すべての施設で信頼できる値になっていないってことなんでしょうか。
実は今年のコンセンサスの原文がpublishされたのは、例年に比べると遅かったようで(毎年6月ぐらいに出てるみたいなので)、いろいろと悶着があったのかなーと勝手に推測してみました。
というわけで、ざっくりとした内容理解でした!
まだやる気が続いたら日を改めて、原文の"Breast Cancer Subtypes"の節だけでも翻訳してみるかと思ってますが、ちょっと疲れたので、今日はこのあたりで。
というわけで、夏休みの宿題にしておいた、ザンクトガレン コンセンサス2013の原文をチラ見してみました。
私は医療関係者でもなんでもないので、単に書いてあることをざっくりと読んで理解することしかできないため、ここに書くことは、正確ではないってことが前提ですが、自分の理解のために一応書いてみようかと。
(内容に関しての疑問は、ご自身の主治医に必ず質問されてくださいね!ここに書いてあるのは、私がざっくり読んだだけなので、信用ならんためです)
恐らくこのあたりが会議のハイライトだったみたい
最初のあたりにまとめ(St Gallen 2013: news and progress)があるんですが、そこを読むと以下の内容でした。
・センチネルリンパ節への微小転移があっても、リンパ節廓清はしなくてもよいという研究結果がありました
・乳房部分切除術(breast-conserving surgery)+全乳房の放射線照射を受ける場合は、センチネルリンパ節への転移が2つまでであれば、リンパ節廓清は省略しても安全という研究結果がありました
・放射線の全乳房照射は15回で40Gyまたは16回で42.5Gyの照射に短縮しても、これまでの標準である25回で50Gyの照射と効果が変わらず安全であるという2つの大きな研究結果がありました。25回で50Gyの照射よりも、経済的で利便性が得られるということです
・タモキシフェンを5年間投与と10年間投与するという臨床試験では、10年間投与の方が優勢(superiority)という結果がありました
・診断時に閉経前であった患者がレトロゾール投薬時に閉経している場合は、レトロゾールの利益が得られるという結果がありました
・トラスツズマブの投与期間の1年間と2年間を比較する臨床試験によれば、2年間投与しても特別大きな利益はありませんでした、6ヶ月と1年間の比較をするための臨床試験は失敗しました、よって1年間の投与が標準的です
・化学療法を行った場合と行わなかった場合を比較する臨床試験はどのグループも利益があるということを提示できずに失敗しました(そしてなんかこの臨床試験に関する上手く行かなかった理由だか、もしくは言い訳みたいなこと?が書いてあるんですが、読んでもよくわからなかったので省略(笑)……すみません)
さらに、演題に上がった内容の詳細はTable 1.を、パネル会議でのコンセンサスの詳細に関しては本文のpanel deliberationsの各項を読むとわかります。
ちなみに、コンセンサスのパネル投票の詳細に関しては、こちらの「Supplementary Data」からダウンロードできるファイルの「appendix 3 detailed voting records for each of the questions put to the Panel:」にあります。
サブタイプは「っぽい」って感じで
たぶん、サブタイプと治療方針に関しては、2011とほぼ同じです。
2011と比較して、大きく変わっているのは以下の2つ。
・サブタイプの最後に"–like"と付いたのがある
これはたぶん、「〜と同様」って意味だと思うので、instristic subtypesに対する位置づけとして「っぽい感じ」みたいなことを言いたいんじゃないかと(←すみません適当です)。
だからどうしたって感じですけど、あくまでも代替的だってことを周知させたいってことなのかもしれません。
・Luminal A-likeとLuminal B-likeを識別するのに多重遺伝子分析(multi-gene-expression assay)のスコアを取り入れている(if availableという前提はあるものの)
これは、Oncotype DXやMammaPrintなどの多重遺伝子診断の結果のことだと思うのですが、この結果を識別に正式に取り入れたという感じです。ただし、注釈として、以下の内容がありました。
This factor was added during Panel deliberations after circulation of the first draft of the manuscript, to reflect a strong minority view. Although neither the 21-gene RS nor the 70-gene signature was designed to define intrinsic subtypes, a concordance study noted that over 90% of cases with a low RS and almost 80% of those with a 70-gene low-risk signature were classified as Luminal A
この要素は、最初の草案が作成された際のPanel審議の際に、強い少数意見を反映するために加えられた。21遺伝子のRSも70遺伝子のリスク分類も固有のサブタイプを定めるために作られたものではないが、一致(concordance)研究において、21遺伝子(おそらくOncotype DXのこと)のRSで低リスクにあたる90%以上と、70遺伝子(おそらくMammaPrintのこと)の低リスクのほぼ80%がLuminal Aと分類されることが強調されている。
※つか、a concordance studyってなんなんだろう?普通、concordanceって一致とか、そういう意味だと思うんですが、「一致研究」ってそもそも意味不明ですみません……もうちょっと調べてみます。
実際のパネル投票の時の結果を見ると、必ず遺伝子分析診断を取り入れるべきとしている人は0%であり、リンパ節転移なしでホルモン受容体陽性乳がんであった場合でも検査を取り入れるべきとしているパネルが6割弱であるので、パネル投票の結果としては、それほど強い意見ではなかったようなのですが、この草稿を作る際にパネルの少数から強く入れるべき!っていうのがあって、最終的に入れたみたいですね。なるほど。
また、ki-67のカットオフポイントは、2011と同じく<14%なのですが、注釈を読むと、実際のパネル投票では、 "high"の閾値が≥20%とされていたようで、なんだか不穏ですね……。結局ki-67の精度というのは、すべての施設で信頼できる値になっていないってことなんでしょうか。
実は今年のコンセンサスの原文がpublishされたのは、例年に比べると遅かったようで(毎年6月ぐらいに出てるみたいなので)、いろいろと悶着があったのかなーと勝手に推測してみました。
というわけで、ざっくりとした内容理解でした!
まだやる気が続いたら日を改めて、原文の"Breast Cancer Subtypes"の節だけでも翻訳してみるかと思ってますが、ちょっと疲れたので、今日はこのあたりで。
by sunday_tourist
| 2013-08-16 01:02
| どうでもいいこと