2014年 08月 07日
Fearless Genius |
ぜんぜん病気とは関係ないんですが、たまたま読むことになった写真集が結構おもしろかったので。
もうすぐ邦訳も出るみたいなのですが、本書は1985〜2000の間にシリコンバレーで起こった、歴史的な瞬間を集めたもの。
表紙には故スティーブ・ジョブズがいるので、まあそんな本なのですが、自分もその歴史的な瞬間の片鱗を陰ながら見ているものもあるので、いろいろとなつかしいな〜と(わわ、こんなこと言うと、年がバレる・笑)。
アップル復帰後のスティーブ・ジョブズのプレゼンというのは、本当にすごくて、彼の手のひらの上で踊らされているとわかっていても、踊ってしまうような説得力がありました。その時期の彼の姿はこの写真集にはないのですが、実際にそのプレゼンの威力を目の当たりにしたことを未だに忘れることはありません。
Stay Hungry. Stay Foolish
ご存知の方も多いと思いますが、彼は膵臓がんで亡くなりました。病気が発覚したあとに行った、スタンフォード大学の卒業式でのスピーチがとても感動的なのですが、もし、ご興味があればご一読くださいませ(今更って感じですけどね!)。
このスピーチは3つのパートから構成されています。
- 点と点はつながる
- 愛と敗北
- 死について
そのスピーチからよく切り出されるフレーズは、最後を締めくくる「Stay Hungry. Stay Foolish」。しかし、私自身が病を経た今、もう一度読み返すと、次の一節が心に残りました。自分(ジョブズ)が膵臓がんと診断され、手術を受けて、今ここに立っているという経験を受けての内容です。
This was the closest I've been to facing death, and I hope it's the closest I get for a few more decades. Having lived through it, I can now say this to you with a bit more certainty than when death was a useful but purely intellectual concept:
No one wants to die. Even people who want to go to heaven don't want to die to get there. And yet death is the destination we all share. No one has ever escaped it. And that is as it should be, because Death is very likely the single best invention of Life. It is Life's change agent. It clears out the old to make way for the new. Right now the new is you, but someday not too long from now, you will gradually become the old and be cleared away. Sorry to be so dramatic, but it is quite true.
これまで生きて来た中で、もっとも死に近づいた経験だったが、この先数十年は同じ経験をしないでいられることを望んでいる。これまでも死というのは頭の中に概念としてはあったものの、この経験を経た今だから確信を持って言えるのは、誰1人として、死にたいという人はいないということだ。天国へ行きたいと思っている人ですら、天国へ行くために死にたいとは思わないものだ。そして、死は人類すべてが共有している目的地でもあり、そこから逃れられた人はいない。なぜなら、死とはそういうものであり、死とはそのようになっているものだから。死とは、おそらく「生」が生んだ、最高の発明品で唯一無二のものである。死とは、すべてを一掃して新しき物を生み出すような改革を促すチェンジエージェントのようなものだ。そして今、この瞬間の新しきものといえば、君たちのことだ。でも、遠くない将来には君たちもいつのまにかだんだん古きものとなり、ある日、一掃されることになるだろう。とてもドラマティックな言い方ではあるものの、これはまったくもって事実なのだ。
「死とは、人類すべてが共有している目的地」であるというのは、私も実際病気になったからこそわかる言い回しです。このスピーチをした時のジョブズの容態がどうだったのかはわかりませんが、「死とは、生が生んだ最高の発明品」であるということにも共感を覚えるものです。つまりは、「死」を身をもって感じない限り、本当の「生」というものは実感できないのではないかと思ったのでした。
by sunday_tourist
| 2014-08-07 00:34
| どうでもいいこと